- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
子どもの頃に矯正したのに後戻り?2回目の矯正・再矯正はできる?原因と治療方法を解説
2026年09月26日
子どもの頃に矯正したのに歯並びが戻った?「2回目の矯正」はできる?
「子どもの頃に矯正したのに、また歯並びが気になってきた」
「一度矯正しているけれど、もう一度矯正することはできる?」
「2回目なら、マウスピース矯正で簡単に治せる?」
このようなお悩みで矯正歯科を受診される方は珍しくありません。
一度きれいになった歯並びでも、治療後に少しずつ歯が動き、「後戻り」が生じることがあります。
ただし、2回目の矯正だからといって、単純に「動いた歯を元の位置に戻せばいい」というわけではありません。
現在の歯並びや噛み合わせ、歯の本数、上下の歯の位置関係などを改めて確認し、今のお口に合った治療計画を立て直すことが重要です。
今回は、矯正治療後の「後戻り」と「再矯正」について詳しく解説します。
一度矯正した歯が「後戻り」することはある?
あります。
矯正治療によって歯をきれいに並べても、治療後の歯が一生その位置からまったく動かないわけではありません。
歯は、周囲の骨や歯ぐき、舌・唇・頬から受ける力、噛み合わせなど、さまざまな影響を受けています。
特に矯正治療直後は歯の周囲の組織がまだ安定しておらず、元の位置に戻ろうとする傾向があります。
そのため、矯正治療後には「リテーナー(保定装置)」を使用して、整えた歯並びを安定させる期間が必要です。
リテーナーの使用が不十分だった場合などには、時間の経過とともに歯が動き、以前とは歯並びが変わってしまうことがあります。
また、歯並びの変化にはリテーナーだけではなく、加齢による変化や噛み合わせ、舌の癖など複数の要因が関係することもあります。
子どもの頃に矯正した人でも、もう一度矯正できる?
基本的には、過去に矯正治療を受けていても、現在のお口の状態に問題がなければ再び矯正治療を検討することは可能です。
「小学生・中学生の頃に矯正していた」
「学生時代にワイヤー矯正をした」
「以前はきれいだったけれど、大人になって前歯が少しずれてきた」
といった理由から、成人後に再矯正を希望される方もいらっしゃいます。
ただし、重要なのは**「以前矯正したことがあるから簡単に治せる」とは限らない**ということです。
再矯正では、現在の状態を一から診断する必要があります。
2回目の矯正では何を確認する?
再矯正を検討するときには、単純に「前歯が少し曲がっている」という見た目だけで治療方法を決めることはできません。
例えば、
・現在の歯並び
・上下の噛み合わせ
・歯の本数
・上下の前歯の位置
・歯並びの中心(正中)
・顎と歯の位置関係
・歯を並べるためのスペース
・歯や歯ぐき、歯を支える骨の状態
などを総合的に確認します。
特に以前に抜歯を伴う矯正治療を受けている場合や、歯の本数に左右差がある場合などは、現在のお口全体のバランスを確認することが重要です。
「ここだけ気になるから、この歯だけ動かす」という治療が必ずしも適しているとは限りません。
再矯正なら部分矯正で治せる?
後戻りが軽度であれば、「前歯だけ治したい」と考える方も多いと思います。
実際、歯の移動量が少なく、噛み合わせなどにも大きな問題がなければ、比較的小さな範囲の治療で改善できる場合もあります。
一方で、見た目では前歯だけの問題に見えていても、
「歯をきれいに並べるスペースが足りない」
「上下の歯の中心がずれている」
「奥歯を含めた噛み合わせを調整する必要がある」
といった問題が隠れていることがあります。
その場合、前歯だけを動かしても根本的な改善にならなかったり、噛み合わせに影響したりする可能性があります。
そのため、再矯正であってもお口全体を確認することが大切です。
2回目の矯正でも抜歯が必要になることはある?
あります。
ただし、「再矯正=抜歯」ではありません。
抜歯が必要かどうかは、歯を並べるためのスペースや上下の歯の位置、噛み合わせ、横顔とのバランスなどを確認して判断します。
特に再矯正の場合は、以前の治療でどの歯をどのように動かしたのか、すでに抜歯をしているのかなどによって治療計画が大きく変わります。
そのため、
「抜歯をした場合」
「抜歯をしなかった場合」
それぞれでどのような歯並びや噛み合わせになるのかを精密検査後にシミュレーションし、比較して治療方針を決めることが重要です。
2回目の矯正はマウスピース矯正でもできる?
現在のお口の状態によっては、再矯正をマウスピース型の矯正装置で行える場合があります。
マウスピース矯正は装置が透明で目立ちにくく、ご自身で取り外しができることが特徴です。
「以前はワイヤー矯正だったけれど、今回はマウスピースにしたい」
という方もいらっしゃいます。
ただし、マウスピース矯正で重要なのが装着時間の自己管理です。
マウスピース矯正は「続けられるか」も大切
マウスピース矯正は、装置をつけている時間に歯へ矯正力が加わります。
そのため当院では、1日22時間程度の装着を推奨しています。
食事や歯磨きの際には取り外せる一方、それ以外の時間は基本的に装着する必要があります。
「今日は長時間外してしまった」
「面倒になって、つけたりつけなかったりしている」
「自己判断で次のマウスピースに交換してしまった」
といった状態が続くと、治療計画と実際の歯の位置にズレが生じることがあります。
すると新しいマウスピースが浮いたり、合わなくなったりして、予定していた歯の移動が進まないことがあります。
必要に応じて再度スキャンを行い、マウスピースを作り直すこともあります。
当院では作り直し自体に追加料金はいただいていませんが、作り直しが必要になれば、その分治療期間が延びる可能性があります。
だからこそ、治療方法を選ぶ際には、
「マウスピースで治せるか」だけでなく「自分が毎日マウスピースを使い続けられるか」
を考えることも非常に大切です。
続けられるか心配なら、治療前に試してみる方法も
「マウスピース矯正には興味があるけれど、22時間もつけられるかわからない」
「仕事中につけ続けられるか不安」
「自分が面倒にならず管理できるのかわからない」
このような不安がある方もいらっしゃると思います。
当院では、ご希望の方に治療開始前のお試し用マウスピースをご案内しています。
3枚のマウスピースを3週間使用していただき、実際の生活の中でマウスピースを管理できそうか確認するものです。
お試し用のため歯を矯正するためのものではありませんが、
「装着したまま仕事ができそうか」
「食事のたびに取り外す生活に慣れられそうか」
「毎日決められた時間つけられそうか」
といったことを、実際に体験してから治療を検討できます。
マウスピース矯正を始めてから「思っていたより管理が大変だった」とならないためにも、一つの選択肢になります。
再矯正こそ「今のお口」を診断することが大切
「以前矯正したから、今回も同じように治療すればいい」
とは限りません。
以前の矯正治療から10年、20年と経過していれば、歯並びだけでなく、お口の中の状態も変化しています。
だからこそ再矯正では、過去の歯並びに戻すことだけを目的にするのではなく、
現在の歯並び・噛み合わせ・歯の本数・正中・顎とのバランスなどを改めて確認し、今のお口に合ったゴールを設定すること
が重要です。
そのためにはレントゲン撮影や口腔内スキャンなどの精密検査を行い、「どの歯を、どの方向へ、どの程度動かすのか」を具体的に検討します。
まとめ|「一度矯正したから、もうできない」と諦めなくても大丈夫
子どもの頃や学生時代に矯正治療を受けていても、その後に歯並びが変化することはあります。
そして、現在のお口の状態によっては再矯正を検討することも可能です。
ただし、2回目だから簡単な治療になるとは限りません。
大切なのは、
「なぜ現在の歯並びになっているのか」
「どこまで改善したいのか」
「抜歯が必要なのか」
「マウスピース矯正が適しているのか」
「無理なく治療を続けられるのか」
まで含めて考えることです。
「昔矯正したのに、また前歯が気になってきた」
「もう一度矯正したほうがいいのかわからない」
「再矯正をマウスピースでできるか知りたい」
という方は、まず現在のお口の状態を確認するところから始めてみましょう。
一度矯正治療を経験しているからこそ、2回目は「とりあえず歯を並べる」のではなく、現在のお口に合った治療方法をしっかり検討することが大切です。
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