- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
エラスティックゴム、ずっと同じものを使っていませんか?
2026年10月18日
「ゴムをかけているから大丈夫」ではありません

矯正治療中に「エラスティックゴム」を使用している患者さんは、意外と多いものです。
「毎日ちゃんとゴムをかけています!」
そう言っていただけるのは、とても大切なことです。
しかし、ここで一つ注意してほしいことがあります。
そのゴム、いつから使っていますか?
実は、エラスティックゴムはずっと同じ状態で使えるものではありません。
使っているうちに伸びたり、劣化したりすることで、少しずつ弾性が失われていきます。
そのため、
「ゴムをかけている」ことと、「適切な力でゴムを使えている」ことは別なのです。
エラスティックゴムは何のために使うの?
エラスティックゴムは、歯を動かしたり、上下の歯の噛み合わせを改善したりするために使用します。
矯正装置だけでは作りにくい方向への力を、ゴムの力で補助する役割があります。
例えば、
- 上下の歯の噛み合わせを改善する
- 前後的な噛み合わせを調整する
- 特定の歯を狙った方向へ動かす
- 治療後半の噛み合わせを仕上げる
など、治療計画に合わせて使用方法が決められています。
つまり、エラスティックゴムは「ただ引っ掛けておけばいいもの」ではありません。
どこに、どのように、どのくらいの時間、どの頻度で使用するかが重要です。
「伸びきったゴム」では何が問題なの?
新品のエラスティックゴムと、長時間使って伸びてしまったゴムでは、ゴムの状態が違います。
ゴムは使用しているうちに伸び、弾性が低下していきます。
そのため、古くなったゴムをずっと使い続けていると、最初に想定されていた力を十分に発揮できなくなる可能性があります。
イメージとしては、
新品のゴム
↓
適切な力を発揮
↓
徐々に伸びる
↓
弾性が低下
↓
交換せず使い続ける
↓
十分な力が期待できなくなる
という状態です。
アメリカ矯正歯科学会(AAO)も、エラスティックは使用によって弾性を失うため、基本的には毎日、または担当医から指示された頻度で交換するよう案内しています。古くなったり伸びきったエラスティックを使い続けることは、歯の移動を遅らせる可能性があるとされています。 (American Association of Orthodontists)
「ちゃんとゴムをかけています」は、実はここまでがセット
矯正治療では、
「ゴムをかけています」
だけでは十分ではありません。
大切なのは、
① 指示された場所にかける
② 指示された時間使用する
③ 指示された頻度で交換する
この3つです。
例えば、朝つけたゴムを夜まで使い、さらにそのゴムを翌日も使用する……というように、交換せず使い続けてしまうと、ゴム本来の力を十分に発揮できない可能性があります。
「毎日つけています」と「毎日新しいゴムに交換しています」では、意味が違うのです。
交換するタイミングは「ゴムが切れたら」ではありません
ここも患者さんからよくある勘違いです。
「まだ切れていないから使える」
「まだゴムっぽいから大丈夫」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、エラスティックは切れるまで使うものではありません。
見た目にはまだ使えそうでも、伸びることで弾性が変化している場合があります。
そのため、交換頻度については自己判断せず、担当医から指示された交換方法を守ることが大切です。
エラスティックの種類や治療目的によっても使用方法は異なるため、「すべての患者さんが○時間ごとに交換」と一律に決められるものではありません。
「たくさん使えば早く治る」わけでもありません
もう一つ注意したいのが、
「早く治したいから、ゴムを2本重ねて使おう」
という考え方です。
これはおすすめできません。
エラスティックは、強ければ強いほど良いわけではありません。
矯正治療では、歯を適切な方向へコントロールするために、必要な力を計画的に使用します。
AAOも、指示以上のエラスティックを使用しても治療が早くなるわけではなく、過剰な力によって歯や顎に負担をかけたり、望ましくない方向へ歯が動いたりする可能性があるため、指示通りに使用するよう案内しています。
つまり、
「少なすぎる」のもダメ。
「古すぎる」のもダメ。
「多すぎる」のもダメ。
大切なのは、治療計画に合わせて適切に使用することです。
エラスティックゴムは「毎日の小さな積み重ね」
矯正治療は、医院で治療を受ける時間だけで完成するものではありません。
特に取り外し可能な装置やエラスティックを使用する治療では、患者さん自身による毎日の管理が治療結果に関わります。
エラスティックについても、
「今日は面倒だからいいや」
「まだ切れていないから交換しなくていい」
「旅行中だから適当に使おう」
といった小さなズレが積み重なることで、治療計画通りに進みにくくなることがあります。
矯正治療をスムーズに進めるためには、決められた使用時間・交換頻度を守ることが大切です。
こんな使い方をしている人は要注意!
最後に、チェックしてみましょう。
□ ゴムが切れるまで交換していない
□ 何日も同じゴムを使っている
□ 「まだ伸びているから大丈夫」と思っている
□ 外したゴムをまた使っている
□ ゴムを持ち歩いていない
□ なくなったけれど次の来院まで我慢している
□ 自己判断でゴムの本数を増やしている
□ ゴムをかける場所が合っているか分からない
一つでも当てはまる場合は、ゴムの使い方を一度確認してみましょう。
秋葉原リヨンドール歯列矯正歯科クリニックからのお願い
矯正治療では、装置そのものだけでなく、毎日の使い方が治療の進み方を左右します。
エラスティックゴムも同じです。
「ちゃんとかけているから大丈夫」ではなく、
「正しい場所に、正しい時間、正しい頻度で使えているか」
を意識してみてください。
そして、ゴムがなくなったり、切れたり、交換頻度が分からなくなったりした場合は、自己判断せずに医院へご相談ください。
当院では、患者さん一人ひとりの治療計画に合わせて、エラスティックの使用方法についてもご説明しています。
伸びきったゴムを我慢して使い続けるより、適切なタイミングで新しいゴムに交換する。
この小さな習慣も、矯正治療を計画通りに進めていくための大切なポイントです。





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