
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
口呼吸がダメな理由ーマウスピース矯正が口呼吸改善に役立つ理由
2025年03月21日
口呼吸がダメな理由
口呼吸は、健康に多くの悪影響を及ぼす可能性がある習慣です。普段、私たちは自然に鼻呼吸を行いますが、何らかの理由で口で呼吸をすることが習慣になってしまうと、さまざまな問題が生じます。以下に、口呼吸の主なデメリットを挙げてみましょう。
1. 健康への悪影響
口腔内の乾燥
口で呼吸をすると、口腔内が乾燥しやすくなります。唾液は口腔内の健康を保つために非常に重要であり、口腔内の細菌の抑制や、歯を守る役割を果たしています。しかし、口呼吸によって唾液の分泌が減少すると、細菌の繁殖が進みやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。さらに、口臭も悪化しやすくなります。
呼吸器系への影響
鼻には、空気をフィルタリングする役割があります。鼻毛や粘膜がほこりや細菌、ウイルスを取り除き、また、空気を加湿し温めることによって、肺に優しい環境を提供します。口呼吸をすると、これらのフィルター機能が働かないため、冷たい空気や乾燥した空気が直接肺に入ってしまいます。これが原因で、喉の痛みや乾燥、さらには喘息や風邪などの呼吸器系の問題を引き起こしやすくなります。
睡眠の質の低下
口呼吸は、いびきや無呼吸症候群の原因にもなり得ます。寝ている間に口を開けて呼吸をしていると、舌が下がり、気道が狭くなるため、呼吸が途切れがちになります。この状態が続くと、深い眠りに入ることができず、睡眠の質が低下してしまいます。睡眠不足や質の低下は、日中の疲労感や集中力の欠如を引き起こし、仕事や学業に支障をきたす原因となります。
2. 顔面や歯並びへの影響
顎の発育不良
口呼吸をしていると、舌が下がった位置で保持されるため、上顎や顎の発育に悪影響を与えます。正常な呼吸が鼻呼吸で行われると、舌は上顎に当たる位置に自然に置かれますが、口呼吸をしていると舌が下がり、顎の発育が不完全になる可能性があります。これにより、顔の骨格や形状にも影響を及ぼすことがあります。
歯並びの悪化
口呼吸を続けていると、舌が下がった位置で口の中に浮いた状態になります。この姿勢が長期的に続くことで、上顎の発達が妨げられ、歯並びが悪くなる原因となります。また、口呼吸によって顔の筋肉が偏って使われることが多く、結果として顔の骨格が歪むこともあります。
3. その他の生活への影響
エネルギー不足
口呼吸をしていると、十分に酸素を取り込むことができないため、体のエネルギー効率が悪くなります。酸素供給が不足すると、体力が低下し、運動能力が落ちることもあります。日常生活においても、疲れやすく、集中力が低下することがあります。
集中力の低下
睡眠の質が悪くなると、日中の集中力にも悪影響が出ます。口呼吸による睡眠の質の低下が続くと、慢性的な疲労やイライラ、思考力の低下など、生活の質が大きく損なわれる可能性があります。
マウスピース矯正とは?
マウスピース矯正は、歯並びを改善するための治療法の一つで、特に見た目を気にする方に人気があります。従来のワイヤーを使った矯正とは異なり、透明なマウスピースを使用するため、治療中でも目立たず、快適に過ごせるという特徴があります。
1. 口呼吸改善に役立つ理由
マウスピース矯正は、単に歯並びを整えるだけでなく、口呼吸の改善にも効果があります。特に、口呼吸が習慣になっている場合、舌の位置が低くなることが原因の一つです。マウスピース矯正は、舌の位置を上顎に正しく保つように設計されており、これにより、鼻呼吸が自然に習慣化するよう促します。
舌の位置を正常に戻す
マウスピース矯正は、舌を上顎に押し当てるように働きかけます。この位置が保たれることで、口を閉じやすくなり、無意識に鼻呼吸が促されます。また、舌が上顎に当たることで、上顎の発育をサポートし、歯並びや顎の発達が改善されます。
口を閉じる習慣をつける
マウスピース矯正を使っている間、口が自然と閉じやすくなります。この状態を習慣化することで、意識的に口呼吸を減らし、鼻呼吸を優先することができるようになります。
2. 歯並びや顎の発育の改善
マウスピース矯正は、歯並びの改善だけでなく、顎の発育にも影響を与えることがあります。正しい舌の位置と口腔内の環境を整えることにより、自然と顔の骨格が正常に発達するため、将来的に不正咬合や口呼吸のリスクを減らすことができます。
マウスピース矯正のメリットとデメリット
メリット
- 目立たない: 透明なマウスピースは非常に目立ちにくく、日常生活でも違和感が少ない。
- 取り外し可能: 食事や歯磨き時に取り外しが可能で、使い勝手が良い。
- 快適さ: 従来の矯正装置に比べて痛みや違和感が少ない。
デメリット
- 自己管理が必要: 定期的に装着し、決められた時間を守る必要がある。
- 治療に時間がかかる場合も: ケースによっては、ワイヤー矯正よりも治療期間が長くなることがある。
口呼吸を改善するためには
- 鼻呼吸の意識を高める:日中や夜間に鼻呼吸を意識的に行うことで、口呼吸を改善できます。
- 鼻の通りを良くする:アレルギーや風邪などで鼻が詰まっている場合は、鼻づまりを解消することが重要です。鼻スプレーや蒸気吸入、加湿器の使用などで改善を試みましょう。
- 口腔ケアの強化:口内の乾燥を防ぐために、こまめに水分を摂るとともに、歯磨きや舌のケアを強化して口内を清潔に保ちましょう。
- 呼吸法のトレーニング:呼吸法を改善するために、深い鼻呼吸を意識的に行うことで、口呼吸を防ぐ助けになります。
まとめ
口呼吸は健康にさまざまな悪影響を及ぼしますが、マウスピース矯正を使用することで、歯並びや顎の発育を改善し、自然と鼻呼吸を促進することが可能です。口呼吸を改善することは、健康を守るだけでなく、顔の骨格や睡眠の質の改善にもつながります。適切な矯正方法を選び、専門家の指導を受けながら、より良い生活習慣を手に入れましょう。