「アウトカム・シミュレーション」とは?
2021年09月19日
アウトカム・シミュレーション とは、インビザラインを取り扱っている「アライン社」が提供する歯並びのシミュレーターが可能なソフトです。
今回はこの「アウトカム・シミュレーション」について、ご説明していきたいと思います。
✓アウトカム・シミュレーションを行うには?
アウトカムシミュレーションを行うにあたって、現在の歯型のデータが必要不可欠です。
この時に活躍するのが、itero element という口腔内専用のスキャナーです。この装置を使用すると、粘土のような歯型とりをすることなく精密な歯型のデータを採取することができます。
当院では検査時はもちろん、アライナーやリテーナー(保定装置)の作製もすべてこのスキャンデータを使用しています。嘔吐反射が強い方(口に物が入ると気持ち悪くなりやすい方)でも、材料が固まるまで待つ必要がなかったり、スキャナーの先端が小さかったりするので、比較的楽に歯型取りをすることができますよ。
もちろん放射線も出ませんので、妊娠中の方でもご安心くださいね。
実際のスキャンをしている様子↓
✓アウトカム・シミュレーションの実際
スキャンした歯型のデータは数分でデータベースに送られ、パソコン上でもすぐにデータの確認、シミュレーションを行うことができます。
シミュレーションを開始すると、アライン社が過去に行った似ている症例を元にして、治療の結果を予測して3Dのデータが表示されます。これは、世界で1000万人以上の治療実績のある、アライン社ならではといえます。
では、下記で画像と共にシミュレーションの流れをご紹介します。
【①このように、ソフトが自動的に歯を認識します】
【②過去の症例データを元に、歯並びのシミュレーションを行います】
【③横からだけでなく、360度どの角度からも確認できます】
【④歯を抜いて治療した場合のシミュレーション結果も】
このように、現在の歯並びだけでなく、抜歯したときのシミュレーションも可能なため、矯正治療をした時のイメージをよりしやすいことも特徴です。
✓治療すればシミュレーションと同じ歯並びになる?
さて、ここまでの話だけでは、まるで夢のシミュレーションソフトだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、カウンセリング時におけるアウトカム・シミュレーションはあくまでもシミュレーションです。このシミュレーションには、レントゲン等のデータは入っていないため、予測される歯並びは表面的なのものとなってしまいます。歯を抜くか抜かないかという診断は、精密検査をして診断をしなければ判断できません。
例えば歯を抜かない設定で、アウトカム・シミュレーション上では綺麗に並んでいても、歯の土台の骨(歯槽骨)の状態によっては不可能なこともあるのです。
そのため、初回のアウトカム・シミュレーションで並べた歯並びが、実際の治療後の歯並びと必ずしも一致するということではありません。軽度の歯列不正であればそこまでかけ離れることはないかもしれませんが、重度の方は特にその傾向にあります。
以上のことから、アウトカム・シミュレーションによる歯並びシミュレーションは、あくまで歯科矯正を検討する際の指標のひとつとして考えていただいた方がよいでしょう。
✓どんな人に向いている?
「同じように綺麗にならなければ意味がない!」と思うかもしれませんが、実際に自分の歯並びをシミュレーションすることで、得られることも多いのです。例えば
- ・矯正治療を考えているけど、中々踏み出せない
- ・現在の歯並びをより詳しく知りたい
- ・矯正後の自分の歯並びがイメージできない
- ・抜歯と非抜歯のシミュレーションがみてみたい…等
上記に当てはまる方にとっては、このアウトカム・シミュレーションはよい判断材料になると思います。カウンセリングの時に「こういった治療をしたらこういった歯並びになりますよ」という話を聞いても、細部まで想像するのは難しいですよね。
話を聞いて頭の中でイメージするよりも、実際にデータで見る方が、より歯科矯正をした時のイメージが湧きやすく、治療へと足を踏み出せると思います。
当院では、カウンセリング時に希望される方に対して、このアウトカム・シミュレーションを行っております。ご興味のある方は、一度お気軽にカウンセリングにいらしてくださいね。