- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
多数歯へのIPRで噛み合わせ悪化?虫歯リスクとマウスピース矯正の注意点
2025年07月25日
多数歯のIPRは噛み合わせを悪くする?虫歯リスクも上がるって本当?マウスピース矯正との関係も解説
はじめに
矯正治療で歯の間を削る「IPR(Interproximal Reduction)」は、歯を抜かずにスペースをつくる便利な方法として注目されています。
しかし、多数歯に広範囲でIPRを行うと、噛み合わせが悪くなったり虫歯のリスクが高まることがあるのをご存じでしょうか?
今回は、IPRのメリット・デメリットを詳しく解説し、特にマウスピース矯正との関係も踏まえて、患者さんが知っておきたいポイントをまとめました。
1. 多数歯へのIPRとは?
IPRとは、歯と歯の間のエナメル質をごく薄く削ってスペースを作る処置のことです。
通常は0.1〜0.3mm程度を削りますが、多数の歯に対して広範囲に行う場合もあります。
この処置は、特に抜歯を避けたい非抜歯矯正や、マウスピース矯正でよく使われます。
ただし、多くの歯を削ることで、歯の構造や咬合(噛み合わせ)に影響が出るリスクが高まることも事実です。
2. 多数歯IPRが噛み合わせ悪化を招く理由
2-1. 歯の形態変化で接触点がズレる
IPRによって歯の幅が狭くなると、もともとぴったり噛み合っていた歯同士の接触点が変わります。
これにより、上下の歯が正しく噛み合わなくなり、噛み合わせのバランスが崩れてしまうのです。
2-2. 歯の支持力が弱くなる
エナメル質が削られることで、歯の強度や支持力も少しずつ低下します。
多数歯を削ると、歯が微妙に動揺したり、噛み合わせの力が均等にかからなくなってしまう場合もあります。
2-3. 咬合高径(噛み合わせの高さ)への影響
歯の幅が変わることで、噛み合わせの高さ(咬合高径)にズレが生じ、顎関節や咀嚼筋に負担がかかることもあります。
これが長期的には顎関節症や筋肉痛の原因になることもあるため注意が必要です。
3. 多数歯IPRが虫歯(カリエス)リスクを高める理由
3-1. エナメル質が薄くなり防御力が下がる
IPRではエナメル質を削るため、歯の自然な防御バリアが弱まります。
特に多くの歯を処置すると、虫歯菌への抵抗力が低下しやすくなります。
3-2. 削った面や隙間にプラークがたまりやすい
細かく削った部分は表面がザラつきやすく、隙間も増えるため、歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。
これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。
3-3. ブラッシングが難しくなる
多数歯のIPR後は、患者さんの歯磨きが難しくなる場合があります。
丁寧なセルフケアが必要ですが、習慣がつかないとさらに虫歯リスクが上がってしまいます。
4. マウスピース矯正と多数歯IPRの関係
マウスピース矯正は、透明で目立ちにくい装置を使い、少しずつ歯を動かす治療法。
歯を抜かずに治療することが多いため、スペース確保のために多数歯のIPRが使われることが多いです。
4-1. 多数歯IPRが増える理由
- ワイヤー矯正よりも大きな歯の移動が難しいため、細かい調整としてIPRが有効
- 抜歯を避けたい患者が多い中でのスペース確保手段として活用
4-2. マウスピース矯正での注意点
マウスピースを装着した状態で噛み合わせが微妙に変わることも多く、
多数歯IPRによる噛み合わせのズレが強調されるケースがあります。
また、マウスピースの取り外しや清掃も必要なため、プラークが溜まりやすい削った面のケアを怠ると虫歯リスクがさらに増加します。
5. 多数歯IPRのリスクを最小限に抑えるためにできること
5-1. 必要最低限のIPRにとどめる
歯を削る量はできるだけ少なく、慎重に計画された範囲で行うことが重要です。
5-2. 研磨処理を丁寧に行う
削った面は専用の器具で丁寧に磨き、ザラつきを最小限にします。
5-3. 定期的な歯科検診を受ける
虫歯や噛み合わせの状態を定期的にチェックし、問題を早期発見・対処しましょう。
5-4. 自宅でのセルフケアを徹底する
フロスや歯間ブラシで削った部分の清掃を入念に行い、口内環境を清潔に保つことが必須です。
6. まとめ:多数歯のIPRはメリットとリスクを理解して受けることが大切
多数歯へのIPRは、マウスピース矯正をはじめ多くの矯正治療で有効な方法ですが、噛み合わせのバランスが崩れたり虫歯リスクが高まる可能性もあります。
治療を受ける際は、
- 医師からリスクやケア方法の説明を十分に聞くこと
- 過剰なIPRにならないか確認すること
- 定期的なケアを怠らないこと
がとても大切です。
不安があればセカンドオピニオンを利用し、納得のいく治療計画を立てましょう。
快適で健康な矯正ライフのために、正しい知識を持って治療に臨んでくださいね。








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