
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
噂って本当?歯科矯正で痩せることは難しい?
2025年05月9日
実際に痩せる人もいるのはなぜ?
歯科矯正で体重が落ちる人がいるのは事実です。特に治療を始めた直後は、装置による痛みや違和感、食事のしにくさから「自然と食べる量が減る」傾向があります。
例えば:
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噛むのが辛く、食事回数が減る
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柔らかい食べ物ばかりになり、満腹感が得づらい
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歯磨きが面倒で間食を控えるようになる
などがあり、結果として一時的に体重が落ちることがあります。ただし、これらはあくまで「副作用」であって、矯正そのものの目的ではありません。
マウスピース矯正で痩せることはある?ワイヤー矯正との違いは?
近年人気の「マウスピース矯正(例:インビザラインなど)」ですが、こちらの場合も「痩せるのでは?」と感じる人がいます。ただし、ワイヤー矯正とは状況が少し異なります。
✅ マウスピース矯正で痩せると言われる理由
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取り外しの手間から間食が減る
→ 食べ物を口にするたびにマウスピースを外し、再装着前には歯磨きが必要。結果、ちょっとした間食を控えるようになる人が多いです。 -
1日20時間以上の装着義務があるため、無意識に「食べない」選択をする
→ 装着時間を守るために、食事以外では極力食べないよう意識する人もいます。 -
矯正をきっかけに美容意識が上がる
→ 透明なマウスピースで歯が見えやすくなるため、笑顔や表情を意識するようになり、美容全般に気を遣う人が増える傾向も。
⚠ ただし、マウスピース矯正でも必ず痩せるわけではない
マウスピース矯正は、痛みや食事制限が比較的少ないのが特徴。
ワイヤー矯正のように「噛めない」「痛くて食べられない」という状況は少ないため、「単に矯正しているだけで体重が落ちる」というケースは稀です。
また、無理な食事制限をすると逆に代謝が下がるリスクもあるため、痩せることを目的にしてはいけないという点は、他の矯正と変わりません。
そもそも歯科矯正の目的は「歯並びと噛み合わせの改善」
ここで大前提として理解しておきたいのが、歯科矯正はダイエットの手段ではないということです。
本来、矯正治療の目的は以下のようなものです:
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歯並びの改善による見た目の美しさ
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噛み合わせの調整による咀嚼・発音機能の向上
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将来の虫歯や歯周病リスクの軽減
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顎関節の負担軽減や顔のバランス調整
つまり、痩せるかどうかは「副産物」であって、「目的」ではないという点を忘れてはいけません。
顔の歪みの改善にもつながる?
歯並びや噛み合わせの乱れは、顎の動きや筋肉のバランスに影響を与え、顔の左右差やフェイスラインの歪みを引き起こす原因になることもあります。
歯科矯正によって噛み合わせが整うことで、顎の位置や筋肉の使い方が改善され、ゆがんでいた顔のバランスが自然と整ってくるケースもあります。
もちろん、すべての歪みが矯正で治るわけではありませんが、顔の印象をより左右対称に近づける効果が期待できるのも、矯正治療の魅力のひとつです。
矯正中でも健康的に過ごすには?食生活のコツ
無理な制限で体重を落とすよりも、矯正中でもしっかり栄養を摂り、健康を保つことが大切です。以下のような食事の工夫がおすすめです。
🥄 柔らかくても栄養のある食材
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卵、豆腐、納豆、ヨーグルト、魚の煮物など
🥣 スープ類や煮込み料理で栄養を補給
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野菜スープ、ポトフ、おじやなど
🍓 間食は噛まずに栄養が摂れるものを選ぶ
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スムージー、ゼリー、プロテイン飲料など
まとめ「痩せる」は目的ではなく“副産物”として受け止めよう
歯科矯正で痩せたと感じる人がいるのは確かですが、それは一時的な変化であることがほとんどです。そして何よりも、矯正の本来の目的は「歯並びや噛み合わせの改善によって、健康と自信を手に入れること」です。
痩せることを目的に矯正を始めたり、無理な食事制限を行ったりするのはおすすめできません。あくまで「美しい歯並びと健康な口元を手に入れる」ことに意識を向けて、矯正期間を前向きに楽しんでいきましょう。
✅ 最後に:この記事で伝えたかったことまとめ
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ワイヤー矯正とマウスピース矯正では事情が異なる
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痩せることは副産物、本来の目的は歯並び・噛み合わせの改善
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健康を保つ食生活の工夫が大切
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痩せる人がいるのは事実だが、全員ではない