- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
インビザラインと相性が良い「アクセルデント」
2021年08月20日
アクセルデント という加速装置をご存じですか?今回は当院で取り扱っている加速装置のひとつ、「アクセルデント」についてお話していきたいと思います。
アクセルデント とは
アクセルデントとは、アメリカのオーソアクセル・テクノロジーズ社という会社開発・製造した加速装置です。アクセルデントは、毎日一定期間微細な振動を与えることで、歯が動きやすくなる環境を作ることを目的としています。
アクセルデントは、オーソパルス等と同様に、骨折の際に治癒を促進する治療にも使用されている方法から考えられたものです。骨折の治療では、骨折箇所に一定の振動を与えることで治癒が速まる、治癒した部位の骨が丈夫になる等の報告があります。
アクセルデント の効果
アクセルデントの公式ホームページでは、アクセルデントや低侵襲の振動装置に関する症例が載っています。
抜歯矯正でのアクセルデントを使用した群、しようしていない群に分けた実験では、
アクセルデントを使用している群の歯の動きが約2倍、抜歯した隙間を埋めるかスペースクローズの速さが38%※という結果があったということです。
※WERNER, Alison. Acceleration by vibration. article at www. OrthodonticProductsOnline. com, 2011, 2.
アクセルデントは比較的新しい製品であることから、論文などのエビデンスが少ない状況ではあります。しかし、このような研究結果があるのも事実であることから、効果が全くないという訳ではないといっていいでしょう。
アクセルデント の副作用は?
アクセルデントを使用することで起こった副作用(歯の根っこが短くなる歯根吸収・後戻り)の報告は、特にありません。
オーソパルスと同様に、FDA(米国食品医薬品局)の承認があることから、安全性は確率されているといえます。
オーソパルスとの違い
オーソパルスとの大きな違いは、オーソパルスが光であることに対し、アクセルデントは振動で動きを促進させるという点です。
どちらの方が効果が高いか、というような優劣の差はほぼなく、アプローチ方法の差はあるののの、同様の効果が期待できます。
アクセルデント の使用時間
オーソパルスと比較すると、アクセルデントは使用時間が20分と少し長いことが特徴です。
使用中はもちろん飲食などはできませんが、動きの制限等は特にありません。そのため、使用中に動けないといったようなことはなく、運動などの激しい動きでなければ自由に身動きが可能となります。そのため、ご自宅で「テレビを見ながら」「本を読みながら」「携帯を見ながら」と比較的楽に使用することができますよ。
歯の動きを速める方法色々
専門用語ではないものの、スピード矯正と呼ばれる治療期間の短縮法は、当院で取り扱っている加速装置から外科的な処置まで様々あります。
※当院では患者様の負担軽減のために加速装置が主となります。
●コルチコトミー
コルチコトミーとは、歯の土台である歯槽骨と呼ばれる骨に切り込みを入れ、傷が治癒しようとする骨代謝を利用して早く歯を動かそうとする方法です方法です。
エビデンスや症例も多くある方法ですが、歯ぐきを一度剥離して切開するなどの外科処置となるため、患者様の負担が大きいことがデメリットとなります。また、通常の外科処置と同様に感染等のリスクも考慮する必要が高いため、手軽にできる方法とは言えません。
●プロペル
プロペルとは、コルチコトミーと原理は同じではあるものの、侵襲性が低い処置となります。プロペルでは、歯ぐきを剥離する必要は特になく、歯ぐきからそのまま骨に向かって、ドライバーのような器具を使って歯ぐき・骨に穴を開ける方法です。これもまた、骨が傷を治癒しようと働く骨代謝を利用するものです。感染症のリスクや痛みなどがコルチコトミーよりも低いですが、このような出血を伴う外科処置が苦手な方は、不向きかもしれません。
いかがでしたか?当院で扱っているのは、「オーソパルス」「アクセルデント」の二つの加速装置です。患者様の歯並び等によって、ドクターがどちらかを選択いたします。どちらも治療のスピードを高める効果が期待できますので、ご安心くださいね。
「マウスピース矯正がいいけど治療期間が長いのは嫌だ」という方は、一度お気軽にカウンセリングにてご相談くださいね。