
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
前歯だけマウスピース矯正はできる?部分矯正のメリット・デメリットと注意点を徹底解説
2025年06月9日
マウスピース矯正で前歯だけ整えたい!部分矯正の注意点とは?
はじめに|「前歯だけキレイにしたい」はよくある希望です
「笑ったときに見える前歯のガタつきだけ気になる」
「奥歯は問題ないから、前歯だけちょっと整えたい」
そんなご相談、実は矯正歯科ではとても多いです。
そこで人気なのが、マウスピース矯正による前歯だけの部分矯正。
短期間・低コストで目立つ部分を整えられるため、忙しい大人にも好評です。
しかし、全てのケースで部分矯正が適用できるわけではないことをご存じでしょうか?
この記事では、「前歯だけをマウスピースで整えたい」という希望を持つ方に向けて、
適応条件・メリット・注意点・向いている人/向いていない人の違いをわかりやすく解説します。
前歯だけのマウスピース矯正はできる?結論:可能なケースも多い
マウスピース矯正(例:インビザラインGOなど)では、軽度の歯列不正であれば前歯だけの矯正も可能です。
とくに以下のようなケースでは部分矯正で十分効果が見込めます。
✅ 前歯だけのマウスピース矯正が適している症例
- 前歯が1〜2本だけ少しねじれている・重なっている
- かみ合わせや奥歯の位置は問題ない
- 以前矯正したが、保定せずに戻ってきた「後戻り」
- 空隙歯列(すきっ歯)を軽く整えたい場合
このような「審美目的の軽度の乱れ」に限っては、部分矯正で十分対応可能です。
全体矯正との違いは?|期間・費用・対応範囲
比較項目 | 部分矯正(前歯のみ) | 全体矯正(奥歯含む) |
---|---|---|
治療期間 | 約3〜6か月 | 約1〜2年 |
費用目安 | 約20万〜40万円 | 約70万〜120万円 |
見た目改善 | ◎ | ◎ |
噛み合わせ改善 | △(不可) | ◎(可) |
適応範囲 | 軽度の症例に限定 | あらゆる症例に対応可 |
部分矯正は、あくまで「見た目重視」かつ「軽度な歯列不正」に対する選択肢と考えましょう。
部分矯正のメリットとデメリット
▶ メリット
- 費用が抑えられる
- 短期間で完了しやすい
- マウスピースなら目立たず日常生活に支障なし
- 痛みや違和感も比較的少ない
▶ デメリット・注意点
- 噛み合わせの問題は改善できない
- 見た目だけ整っても、奥歯が原因で後戻りするリスクあり
- 自己判断で希望しても、実は適応外だったというケースも
- 保定を怠ると、わずか数ヶ月で元に戻る可能性
前歯だけ矯正できる人・できない人の見分け方
マウスピースで前歯だけを整えたいと思っても、誰にでもできるわけではありません。
✅ 前歯だけ矯正が「できる人」
- 前歯のねじれ・重なりが軽度(ガタつき2mm以下など)
- 奥歯の噛み合わせに問題がない
- 顎の骨格にズレがない
- 過去に矯正歴があり、後戻りが軽度な人
❌ 前歯だけ矯正が「向かない人」
- 奥歯の噛み合わせにズレや段差がある
- 出っ歯・受け口・開咬など骨格的な問題がある
- 歯並び全体が中〜重度で乱れている
- 顎関節症など機能的な問題を抱えている
この判断は、歯科医の診断が必須です。
自己判断ではなく、レントゲンや歯型の検査を行ってもらいましょう。
部分矯正を成功させるための注意点3つ
① 「噛み合わせは関係ない」と思い込まない
見た目は整っても、噛み合わせが悪いと後戻り・歯の損耗・顎への負担が起こることがあります。
② 保定(リテーナー)は絶対に必要
マウスピース矯正後は、歯が元の位置に戻ろうとする力が働きます。
必ずリテーナーで保定を続けましょう。
③ 医師選びは「部分矯正に詳しい」歯科医院を
全体矯正が前提の医院より、部分矯正に特化したクリニックや、マウスピース専門歯科の方が適切な提案を受けやすいです。
まとめ|前歯だけ整えたい方こそ、専門医の診断を
「前歯だけ治したい」「費用も期間も抑えたい」――
そう考える方にとって、マウスピースによる部分矯正は非常に魅力的な選択肢です。
ですが、部分矯正が適しているかどうかは、噛み合わせや歯並び全体を見て初めて判断できます。
✅ 最初の一歩は、「適応診断」から
後戻りのリスクや失敗を防ぐためにも、まずは部分矯正に精通した歯科医院でカウンセリングを受けてみましょう。
「前歯だけでも、きちんと整える」――
その一歩が、あなたの笑顔と自信を取り戻す第一歩になるかもしれません。